脚本 両澤千晶、演出 高田昌宏、絵コンテ 西澤 晋
ストーリー
奪取された3機のガンダムを追って、プラントを出たシンのインパルスとレイのザクファントム。そこに待っていたのは謎の部隊を指揮するネオ・ロアノークが操るMAエグザスだった。
その攻撃に圧されるシン。
一方、出撃したミネルバはガーティ・ルーとの激しい追撃戦に入る。
シンとレイを回収、ガーティ・ルー追撃を決定するタリア。そこにはカガリとアスランの姿もあった。
ガーティ・ルーではスティング達の回復を図りながら、ミネルバの追撃に備える。
小惑星を利用するネオ。そしてミネルバからはシンのブラストインパルスガンダムと、ルナマリアのガナーザクウォーリアが発進する。
アバンタイトル
三石琴乃のナレーション。後半は第2話のラスト、ミネルバ発進、アスランとカガリ、ルナマリア、コクピットのシン、そしてネオの「さあ、その機体も頂こうか!」のセリフ。
Aパート
飛び交うエグザスのガンバレル。必死に避けるシン。ビームを弾いているがどんな性質かはやはり気になるところ。
感応するネオ。この後、シンを助けにレイがカットインするが、これを観る限りでは両者が同時に感応するのではないようだ。例えば意識が集中した時に、それを相手が感じるとかそういうものかも知れないが、画面を観る限りでは、特定の状況においてのみ感応し合っている風でもない。今回の表現ではさらに一歩踏み込んでいて、ネオはレイの姿や言葉すら感じているようだがそれが事実的描写だとして、ネオはレイについては何も知らない雰囲気がある。
かつてガンダムのニュータイプ能力には『30秒の予知能力』があるとなっていたが、ニュータイプの概念がかなり曖昧な為、ここでの感応が意味するところは、単純に前作と同じ、と考えて良さそうだ。とすると、この二人の関係は・・・。何故二人が敵味方でいるのか・・・。
ザクファントムがガンバレルを撃墜。レイの戦闘能力はシン以上に見える。レイの冷静沈着さは少し尋常じゃない感じだ。
ミネルバ。タリアは「ザク」と言っているが、つい『めぐりあい宇宙』を思い出してしまうのは狙ってのことか。
ガーティ・ルーの呼称を『ボギー・ワン』とする。ボギーというのは空軍の用語で「敵(敵味方不明機)」という意味。現在では「バンディッツ」と呼ぶほうがポピュラーらしい。因みに航空自衛隊では交信会話に日本語は使わない。これは交信内容が日本語だとやたらと長くなるからだ。
メイリン。電波障害が激しいと言っているが、少なくともミノフスキー粒子ではないだろう。メイリンのセリフからだと、MA(モビルアーマー)が何か特別な存在のような感じ(ガンダムのMAと同じ意味)に聞こえるが、前作SEEDではMAはMSより先に作られた地球連合軍の兵器で、直ぐにMSに取って代わられていた。現在のMAが兵器としてどのような位置づけにあるのか、気になるところだ。
エグザスとザクファントムの戦い。盾を左右に広げて翼のように使っているが、これは恐らく質量を左右に大きく広げることで、機体を振り回して機動性を上げているものと思われる。ガンダム世界でいういわゆるAMBACという奴だろう。よく分からないがエグザスのガンバレルには更にコ・ガンバレル(名称不明)のようなものがついているのか、さらに3つの有線子機があって、それがビームサーベルを左右に張り出して攻撃していた。詳細が知りたいところだ。
シンのインパルスがビームサーベルを抜いて接近。ビームが足首を掠める。
ミネルバのブリッジ遮蔽。いわゆる戦闘ブリッジというやつだが、やっぱりこれって無駄機能なのでは? 本当なら宇宙船を『船』として建造する意味はほとんどないと思われるが、これはほとんどのSFモノでの暗黙の了解として突っ込んではならないところだ。
ミネルバに装備されている武装、『トリスタン』と『イゾルデ』は有名なオペラだ。でも旋回砲台を宇宙船に装備している時点でツッコミ放題なんだが。しかも砲身が伸びて来るし。まあ、ビームの性質が判らない以上、ガンダムの(というか昔のアニメ(実写も含む)からの)視覚的効果を狙った演出なんだからツッコミはしてらならないんだろう。
ミネルバ進攻。やっぱりコイツ、アーク・エンジェルもそうだったが、こんな質量している割に機動力は抜群だ。このシーン、ミネルバよりもガーティ・ルーの描き込みが凄い。
ザクファントムとガンバレル。ネオのセリフは、やはりムウだ。子安武人演ずるキャラは殆どが端的に区別されるのに、ごく気さくに話しているムウの声を聞いて意外に思ったものだ。
帰還信号。ここでも命令に忠実なレイの性格が見てとれる。
ナイト・ハート(?)での攻撃。イーゲルシュテルンで迎撃するガーティ・ルー。その中ではガンダムを強奪した3人組みが。ステラの恐怖はやはり「死ぬ」ことに対してのものだろうか。でも、他の二人も同じように肩で息をしている。これは恐怖というよりは、もっと別なものの感じだ(前作の連合3人組みの様?)。もっともガンダム世界においては戦艦はMSにはやられ放題なので、乗ってるほうは生きた心地はしないだろうが。
ミネルバの砲撃。というか、これってひょっとして『実体弾』? ボゴン! とか撃って余計にツッコミ処を増やして・・・。で、何が爆発してるんだろう。因みに「足を止める」と言っても、決してエンジンを破壊したところで停止するわけじゃない。もちろん判っているよね、タリアさん。
エグザス帰還。ネットで受け止めている。イアン・リーに撤収を命令するネオ。インパルスとザクもミネルバに帰投。
治療を受けるカガリ、その側にはアスランとルナマリアが。ルナマリアの視線はアスランを向いているようだが、画面でははっきりと言い切れない。ただ、これも伏線であろうことは予測出来るので、二人の距離感を観ておくといいだろう。どうもこの時点でのルナマリアはアスランにどのような感情を持っているのか判らない。ただアスランについての知識を持っているなら、ヤキン・ドゥーエ攻防戦の事を考えても彼に強い不信感があるはずだ。
ガーティ・ルーの側をビームが掠める。何かが爆発しているが、やっぱり実体弾? それとも対砲撃用の何かか?
ガーティ・ルーのブリッジ。遊び過ぎたというネオ。インパルス奪取にやる気満々だったような。
ガーティ・ルーとミネルバの追撃戦。ネオの口調が妙にシャアっぽい。ネオの指揮に艦長の顔のアップ。どうやらネオの指揮を驚いているような感じだが、艦長の頭越しなんて実際こんな命令系統は混乱の元だ。まあ、ネオにしてみれば自分でやったほうが手っとり早いのだろうが。ネオは他人に任せておけないタイプだな。
ザクから降りるレイとシン。整備をしているのはヴィーノとヨウラン。
タンク切り離し、それの爆発の中を抜けるミネルバ。ここの距離感やスピード、演出は当然アニメ的演出だ。二つの艦があんなに見える距離にいる訳がないし、あんなでかいタンクを撃ち落とせないはずもなし。
もっと言うなら、宇宙空間なら幾ら近くで爆発が起こったとしても、それによる衝撃波をどれだけ感じるか、というのもある。衝撃波は基本的に空気中を伝わる波であるから、宇宙空間ではそれに変わるものを設定しなければならないはずだ。もっとも幾らミサイルのようなものでも、爆発すれば細かなデブリが超高速で周囲にばらまかれるはずだから、それを本当にやると今度は被害が甚大になってしまう。まあ細かく言っていくときりがないし、特別知っておかなくていいことではあるが。
ミネルバのブリッジ。砲撃に備えるタリア。まるで映画『眼下の敵』を思わせるような艦長同士の駆け引きだ。
ブリッジに入って来たレイは、そこにデュランダルを見つけて驚く。この二人の関係が気になるところ。
ボギー1(ガーティ・ルー)追撃続行を決定。でもこの戦闘ブリッジ、凄く危険。挟まれたらどうするんだろう。俺の会社でも世界に冠たる、というところでISOだのSCOだのがあるので労災に神経質なくらいなのに。まあ、戦艦一隻を1、2年でホイホイ作ることも出来ないだろうから、ミネルバ建造は恐らく戦時下だったと思われ、安全性はある程度無視された、と見るのがいいんだろうな。というか、SEEDの世界では2、3日あればMSの1種や2種、量産出来そうなんだけど。
しかしこのミネルバ、推進剤に何を使っているのかも気になるが、もっと気になるのは場所によって重力の掛かり方が全然違うということだ。あれだけ加速しているにも関わらず、格納庫には全く重力加速度が掛かっていないし、同じ掛かっていないのに何故か普通に歩いているアスラン達がいる。ブリッジにもGが掛かっている様子はないし。
ルナマリアからの報告。考えてみればカガリやアスランがこの艦に乗っている必然性は全くない。かなり強引な展開だ。
何時も入るアイキャッチは今回はなし。少しでも内容を詰め込みたいのだろうか。
Bパート
こちらはアイキャッチあり。何時ものキラとラクス。
ガーティ・ルー、メンテナンス・ベッドで眠るスティング、アウル、ステラの3人。
ブリッジ、ネオのセリフはやはりシャアを連想させる。
ネオと艦長のセリフから、3人について若干判ることがある。メンテナンス・ベッドは最適化を行う為のものらしい。「アウルがステラにブロック・ワードを使ってしまった」というセリフがあるが、「じゃあ、死ねよ」といったことだろう。ブロック・ワードの意味は不明だが、あれほどステラが混乱したところを見ると、恐らく暴走を食い止める為の暗示のようなものだと思われる。彼らはラボで作られたらしいが何処のラボだろうか。前のよりはマシ等のセリフから察すると(恐らくそれは前作の3人組みのことだろうから)どうやらブルーコスモスのようだが。ということはネオ達が仕えているのは、まだ画面には出てきていないブルーコスモスの新たな盟主、ロード・ジブリールということになる。当面の敵はこの男か?
整備中の格納庫。ザクウォーリアに救われた時のことを回想するシン。
士官室で話をするカガリ、アスランとデュランダル、タリア。アスランに一瞬視線を向けるタリア。ここのタリアのデュランダルとの位置や心の動きは判りにくい。まあ、単純に考えればデュランダルの言っていることはかなり無茶苦茶なので無言の牽制とも取れるが。
ガーティ・ルー。ステラがベッドから起き出す。他の二人はもう起きている。
ザクウォーリアの前で話をするシンとルナマリア。ちょっとうかれ気味のルナマリアに対してシンは渋い顔をしている。ザクに乗っていたのはアスラン・ザラかも、という話。このSEED DESTINYはそこかしこに『Zガンダム』へのオマージュ的なシーンや設定が存在するが意図したのかしていないのか、アスランはクワトロそっくりだ。シンとステラもカミーユとフォウの関係に似ているし、第1話でのザクの起動はカット割りを考えれば、ファーストよりもカミーユがガンダムMk−Uを動かした時に似ているかも知れない。そう考えるとある程度ストーリー展開も読めて来るかも?
レイを先頭にカガリ達を案内するデュランダル。やっぱりこの艦、重力がどうかかっているのか気になる。考えられるとすれば1G加速する中で、進行方向に頭を向けて立っている、ということか?
MS格納庫へ。これの何処が効率のいい発進システムなんだろう。結局ミネルバはインパルス専用運用艦の様相を呈している。前作でエターナルがフリーダム、ジャスティスの専用運用艦だったのと同様、物凄く不効率だと思うぞ。だいたいその発進システム、他の機体を発進させられるだけの柔軟性は持っているんだろうな?
ここでカガリは「混乱が治まらないから力が必要なのか?」と聞いているが、第1話の話と矛盾してるんじゃないか? 第1話ではデュランダルは逆のことを言っていたと思うんだが。それにここまできてもカガリは全く成長していない。前作であれだけ戦ったのは何だったんだろう。シンに突っ込まれてもこれじゃあ文句は言えない。ただ、シンもここで不思議な怒り方をしている。確かに戦場はオーブだったろうが、逆恨みもいいところだ。ここでの怒りは誤解を解けばいいって類のものじゃない。それともザフトに来てからそう言う思想に変わったのか。まあ、ここでのシンの怒りに対する解釈は、カガリの夢想的発言に対して、それを認めると自分達が全くの無意味な存在(というよりもマイナスの存在)になりかねないことへの反発、と見ればいいのか。カガリに対しての発言が後に尾を引きそうだが、少なくともシンが何に対して怒っているのか非常に判りにくい感じだ。
ミネルバのブリッジ。デュランダル、カガリ、アスランが勢揃い。
ガーティ・ルーではスティング達3人も出撃準備。ステラは最適化の為か、少しぼうっとしている感じだ。二人はそれに若干驚いているような感じがするが、最適化の意味を3人は知っているのだろうか。
ガーティ・ルーから発進する3機のガンダム。ディアクティブ・モードなので判りにくい。
小惑星にアンカーを打ち込むガーティ・ルー。恐らくデコイを使って前進していると見せかけて、本体は小惑星から回り込む作戦だろう。でも、この程度の小惑星なら、ガーティ・ルーの質量と遠心力で軌道が変わってしまうような気がするんだが。
ザクウォーリア・ルナマリア機の発進。インパルスガンダムはブラストを初めて使用。というか、やっぱり非効率だろう。個人的にはコアスプレンダーの後にシルエットを付けて欲しいところ。
ここでザクウォーリアはガナーのウィザードを付けている。ということは次回でオルトロスを撃つザクか見られるかな?
インパルスガンダムの合体シーン。個人的には本編の影響がないところでカットとしてちゃんと合体シーンが見せてもらいたかったから、これはこれでよしとしておく。出来ればフォースシルエット、ソードシルエットがどのように合体しているかも見てみたい。
デュランダルの言葉。「名前は存在を示すもの、しかし名前が偽りならばその存在そのものも偽りということになるのかな?」、と偽名を名乗るアスランを本名で呼ぶ。
やっぱり不思議だ。このデュランダル。前の戦いから2年しか経っていない。デュランダルはプラントの最高評議会議長なんだから、当然2年前にもそれなりのポストにあったはず。ザフトには階級は存在しないから、アスランはデュランダルという男と面識があっても不思議ではないのに、二人とも全く面識がない(デュランダルのほうはよく判らないが)ように見える。どうやってデュランダルが今の地位を築いたのか、まるで唐突に現れたような印象を受けるデュランダルについて劇中で説明はあるのだろうか。
予告
デブリ帯での戦闘。どうやら予告をみる限り、次回は戦闘が中心の回になりそうだ。ラストは第2話に続いて今度は「ザク!」。これは常に変わっていくのかな?
次回「PHASE-04 星屑の戦場」
総評
前半戦は戦闘シーンがメインだが、どちらかと言えば戦闘は大人しいほうだった。相変わらずシンについてはほとんど語られない。現在のところ、前知識無しに見れば誰もシンを主人公だとは思わないだろう。
戦闘シーンが抑えられている割りにはストーリーの進展は少ないが、それでもなかなか重要なセリフや伏線があるので、注意してみたほうがいいだろう。
ただ、シンの感情については現時点では全くの不明だ。まあ、これはシンについて全く語られていない為に理解しようもない。少なくとも当初俺が考えていたような、「ガンダムに対する複雑な思い」というのは全くなさそうだ。
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