脚本 兵頭一歩、両澤千晶、演出 西山明樹彦、絵コンテ 西澤 晋
ストーリー
ガーティ・ルーを追撃するためにミネルバからシンのブラストインパルスとルナマリアのブレイズザクウォーリアが発進する。しかしそれはネオの罠だった。シン達を待ち伏せするカオス、ガイア、アビス。そしてガーティ・ルーはデコイを使って小惑星を回り込み、後方からミネルバを攻撃する。
その攻撃によって小惑星で身動きが取れなくなるミネルバ。しかしシン達もスティング達の猛攻の前に援護が出来ないでいた。
手を拱いているタリアにアスランが脱出の作戦を提示する。危険ではあったがその作戦によってミネルバは何とか危機を脱する。
しかし、ガーティ・ルーはスティング達を回収し、離脱していった。
ガーティ・ルー追撃を断念したデュランダルは、ミネルバの危機を救ったアスランに礼を言う。
修理を行うミネルバの中ではそれぞれの想いが。
その頃、ユニウスセブンはその軌道を徐々に変えつつあった。
アバンタイトル
例によって三石琴乃のナレーション、第3話のフラッシュバック。カガリの言葉と反論するシン、ネオの計略、そしてデュランダルとアスラン。ルナマリア、シンの発進。
Aパート
ルナマリアのザクウォーリア、シンのブラストインパルス、お供の量産型ゲイツRが2機。デブリ戦の成績がよくないというルナマリア。シンの言葉に「レイみたいで調子狂う」とかわしている。
ミネルバのブリッジ、各種武装の準備が進んでいる。その中でタリアやデュランダル、カガリ達のカットが入るが、聞こえて来るセリフの中では少し繋がりが悪い。カガリの「議長、それは」が掛かるものはここではよく判らない(後にそれがアレックスを名乗るアスランに対するデュランダルの発言であることが判る)。ここの繋げ方はセリフ運びかそれともカット割りか少なくとも成功はしていない。
デブリに隠れているカオス、アビス、ガイア。アンカーを外し小惑星を回り込むガーティ・ルー。
ここでミネルバのブリッジにシーンが変わるが、話しているのは相変わらずの名前を変えたアスランのこと。繋がりの悪さと意味の不明さ加減が少し見ていてイライラする。カナーバ前議長って誰? 彼らにとった措置ってどの彼ら? どんな措置? これは前知識を持って置かなければ判らないセリフだろうか。少なくとも今は謎めいたセリフだけが先行しているような感じだ。
ガーティ・ルーを追跡するインパルス。1400という距離はキロ? マイル? まあ、メートルなんてことはないだろうが。
その不自然さに気づくタリア、でも先に口に出したのはアスラン。やはりデコイ(おとり)で前進すると見せかけた作戦だった。
それに呼応するかのようにスティング達も動き始める。戦闘開始。いきなりやられるショーンのゲイツR。避け捲くるインパルスは凄い運動性能だ。
ガーティ・ルーは後ろでダガーL(砲戦型)を発進させる。
砲撃とミサイルを避けながら飛ぶミネルバ。相変わらずこいつの機動力には舌を巻く。よくこんな質量を動かせるものだ。MSも顔負けである。
時々入るアスラン、カガリのカット。アスランは状況に不満のようだが部外者であるため口に出せない、と言ったところか。しかしアスランは戦艦の指揮は取ったことがないはずだ。ここだけ見るとタリアが出来のいい艦長に見えないのが残念。それに引き換え、デュランダルは余裕だ。アスランの姿を楽しんでいるような感じすら受ける。プラント最高評議会議長としての肩書以上の何かがあるのは間違いないんだが。
MS戦。別のゲイツRがやられる。ここでのアビスは前作のカラミティそっくりの描かれ方だ。しかし砲を撃ちっぱなしで撃ち終わったカットが入らない為、何処かもどかしいのも事実。
インパルスのモニターにミネルバの危機を知らせる文字が。「テキストオンリー」の文字に目が行ってしまうが、その下にある「FLASH
FLASH FLASH」と出ている。これについては不明だが、更にその下には「URGENT」とあるのは「急を要する、緊急の、切迫した」という意味である。
作戦に引っかかったことに気がつくシンとルナマリア、しかし敵の攻撃が激しくて戻れない。一方、ミネルバもダガーLの攻撃に小惑星を掠めながら飛んで反撃をしている。しかしデブリに邪魔をされてどうにもならない。レイのザクも発進は無理。アスランのカットが入るが、どうも不自然さが感じられていただけない。
ルナマリアのザクとそれを追うステラのガイア。ガイアは変形して太陽電池パネルを割りながら走る。というか宇宙空間で? オルトロスで撃墜しようとするがそれを回避するガイアは明らかにジャンプしているような感じだ。宇宙空間でケモノになる必然性はあるのだろうか。ケモノとしての機動性を見せたいのなら、走るのは止めたほうがいい。せいぜいデブリを足場にして飛び回るぐらいがいいな。
圧されるルナマリア。シンのインパルスもカオスとアビスに追われている。ルナマリアのザクを援護する為に砲を発射、それがステラの苛立ちを募らせている。この関係、やはりカミーユとフォウに似ている感じだ。
ミネルバを攻撃するガーティ・ルーとダガーL。驚いたことに、ダガーLのキャノンは無反動砲じゃない。余り描かれないが本当なら宇宙じゃ大変だぞ。
デブリに邪魔されて反撃出来ないミネルバ。ネオはミサイルで小惑星を狙って、破片をぶつけようとする。それを先に察知したのはアスラン。タリアさん、優秀な艦長さんなら宇宙でのデブリってもうちょっと気にして欲しい。というか、今までそれでやられなかったのが不思議なんだけど。
ミサイルの攻撃に晒され、傷ついていくミネルバ。この場面、結構派手なんだけど、戦艦の巨大感には少し欠ける。
エグザス発進。ミネルバは前方を岩塊に塞がれ、スラスターを破損して身動きがとれない。ここでもところどころにアスランのカットが入るが、どうにももどかしい感じだ。本来なら「カガリのお付きとしての役割だけで戦争とは無縁(カガリは元々戦争を望んでいないので)なはずのアレックスだが、その正体である幾多の戦場をくぐり抜けてきたアスランとしての経験が反応している」ということなのだろうが、これでは「タリアの指揮の拙さに口出し出来ないもどかしさ」に間違えてしまう。タリアは設定では優秀な指揮官ということだし、戦艦を指揮したことのないアスランが、実戦経験が豊富というだけで(前大戦から2年した経ってないので、タリアに実戦経験がないとは言い切れない)タリアを上回るのも変な感じだ。この部分は「対して優秀でもないキャラを優秀に見せるために周囲の人間をそれ以上の無能にする」典型的な箸棒シナリオである。
レイも発進準備をする。モビルスーツはあってもパイロットがいない、というタリアの言葉に反応するアスラン。それを見て笑みを浮かべるデュランダル。意味ありげではあるがデュランダルが何を考えているのか全く読めない。単にアスランに対する個人的興味だろうか。それとも他に何かあるのだろうか。少なくともこの状況でアスランにそこまで拘る意味を理解出来ない。
今回もAパート終了時点でのアイキャッチは無し。
Bパート
何時ものようにキラとラクスのアイキャッチ。この二人が本編に出てくるのは何時の事だろうか。
発進するレイのブレイズザクファントム。「ミネルバにはギルが乗っているんだ」というセリフから、デュランダルとレイの親密さが伺える。ということはやはりレイと関わりが深そうなネオもデュランダルと何か関係があるのだろう。これはオープニングからも伺える。
レイに感応するネオ。しかし直ぐにシン達のカットに変わる。SEED DESTINYにはこうやって別々のシーンを細切れに並べることが結構あって、ストーリー運びに息苦しさ、性急さが感じられる。テンポが早い、と取ることも出来るが、謎や伏線に集中出来ない分、損をしていると思うんだが。
攻撃を仕掛けて来るカオスとアビスに向かってシンが撃ったのはデリュージー超高初速レール砲のはずだが何故かアビスを追尾していた。
アスランが残ったスラスターと砲を使ってミネルバの艦体を破片ごと押し出す作戦を提案する。危険だと反対するアーサー。デュランダルの意向もあり承諾するタリア。このタリアの言動ではやはり有能さはあまり感じられない。アーサーの目もアスランに対して懐疑的だが・・・。
戦闘に入るレイのザクとネオのエグザス。ネオは「白い坊主くん」と言っているが、ということはやはり第3話でレイの姿が見えたのは事実的な描写ということになる。そう言えば前作でもクルーゼとムウがなぜ感応するかの二人の関係についての説明はあったが、具体的に感応しているのが何であるのか、どういうものなのかについてはうやむやだったような気がする。まあ、エヴィデンス01といい張るだけ張った伏線は忘れ去られているのでどうしようもないが。SEEDはお約束のようにそういう描写を多く使うが、それらの具体的説明がほとんどされない。それがSEEDを『荒唐無稽な物語』に貶めているような気がする。
ダガーLを撃墜するレイ。もう1機のダガーLはミネルバを目指す。それを追うレイと、レイを攻撃するネオ。この位置関係がロングで描かれているので判りにくい。特にザクの正面からのカットからダガーLが撃破されるシーンは距離感や位置関係が曖昧なままだ。ザクの被弾も意味がない。
シン達の戦闘。インパルスを撃墜出来ないことに苛立つスティング。
ガーティ・ルーがミネルバに止めをするために接近する。一方ミネルバはアスランの作戦を実行準備に入っている。スラスターと同時に右舷の砲、ミサイルの一斉発射。ミサイルはともかく旋回砲塔はどうやら実体弾なのでまあいいとして(全然良くないけど)、ビームは撃って爆発させることが出来るの? どうやらミネルバに装備されている砲は素粒子ビームらしい。何やら加速器の内部構造がホビージャパンに乗っていた。ということは爆発しているのは核爆発? あ、でもNジャマーで核反応は起きないんだっけ。あれ?
小惑星から抜け出すミネルバ。トリスタンの砲撃で損傷を受けるガーティ・ルー。ここのトリスタンの破壊力の大きさはアニメ的な演出だ。さらにガーティ・ルーを超ニアミスで通り過ぎるミネルバも少しやり過ぎのような気がする。
レイとネオの戦闘。ネオは帰還信号を打つ。ガーティ・ルー、何だかピンク色の煙がモクモク上がってるよ。
「白い坊主君、そしてザフトの諸君」棒読みなネオのセリフ。役を作り過ぎたのか逆に失敗しているような感じだ。
帰還信号に全員が注目。ガイアはしっかりとケモノ状態で立っている。そう言えばザクもデブリの上に着地したけど、足の裏にマグネットのようなものでも仕込んでいるのかな?
ここでのステラの安心した顔は何を意味するのだろうか。戦闘中の彼女とはかなり趣が違う。
やっぱりガーティ・ルー、艦体からピンクの煙をもくもく棚引かせている。敵の帰還。ザクのパワーが危険域だが、インパルスはどうだろうか。デュートリオンビーム送電は生きているのだろうか。
離脱していくガーティ・ルー。デュランダルは追撃を断念することを決定する。
廊下を歩くデュランダル、アスラン、カガリ、タリア。帰還したシン、ルナマリア、レイを廊下で迎えるメイリン。
ここでのデュランダルの言葉は、完全にアレックスではなくアスランとして見ている。タリアに言ったのは、恐らくデュランダルが認めたことでアスランの口出しによってタリアが抱いたであろう艦長としての不満を払拭するためだったのだろうが、それにしてもデュランダルのセリフは理解しにくい。というか深い意味がなく、単に状況に応じて意味ありげに思えるセリフを吐かせているだけに聞こえる。デュランダルのセリフだけで相当の伏線を張ったことになるが、ちゃんと処理出来るのだろうか。
シン達とアスラン達は同じ廊下にいるような感じなのに、ここでは全く出会わず次のシーンまで持ち越し。交互にこの二組を見せる必然性が感じられなかった。
アスランの回想。ここでは多くの仲間達を失ったことが原因で名前を変えてモビルスーツからも離れたような印象となっている。それは次のシーンでも判る。
アスランのいる部屋にシン達がやってくる。ルナマリアはアスランに興味津々、でも言動は少しイジワルな感じだ。オーブの人間に対して不信感を見せるシン、生真面目なレイ、他の3人に対するメイリンの反応も面白い。
その頃、ユニウスセブンが地球落下への軌道を取り始めていることが判る。
エンディングのイントロに重なるのは修理中のミネルバ、指揮するアーサー、自室で休むタリア、そして同じく休むアスランとカガリ。同室のようだがそういう関係なのか? シンは妹のマユの形見である携帯電話を取って声を聞く。今風のゴツイ感じの携帯電話だ。やはり小道具としてはこれまで全く使われていないので、世界観にあったアイテムなのかどうかは疑問が残るところだ。マユの声は誰だろう? 折笠富美子か?
予告
取り敢えず一番の注目はイザークとデュアッカの再登場だろう。白い隊長服のイザークに事実上降格した一般兵士服のディアッカ(ザフトには基本的に階級がない)。これからしばらくはユニウスセブン落下の阻止と真相解明がストーリーのメインになっていくのだろうか。
次回、PHASE-05「癒えぬ傷跡」
総評
今回は戦闘がメインだが、各MS戦、戦艦による追撃戦等、派手で見どころは沢山あった。戦闘はスピーディだが、画面がゴチャゴチャしていることもあり、どうにも忙しない感じは抜けない。SEEDはスピード感を出そうとするが余り、緩急がイマイチついていない感じだ。戦闘シーンがのっぺりしているとでも言えばいいのか。相変わらずシンは何も喋らない。この回では感情移入出来るキャラはいなくて、ただデュランダルの不可解な言動だけが頭の中に残っている、そんな感じだった。
物語の引きそのものはイマイチだが、前3話のどれよりも内容は詰まっていたと思う。
|