PHASE-09 驕れる牙


脚本 森田 繁、両澤千晶、演出 西山明樹彦、絵コンテ 西澤 晋

ストーリー
 地球連邦はプラントに対し共同声明を出した。その一方で、月基地では核ミサイルを始めとする軍備を整えつつあった。
 デュランダルは最高評議会で対話路線を貫こうとするが、状況がそれを許さず、あくまで専守防衛の目的で軍を動かす。
 遂に開かれた地球軍とプラントの戦端。その最中、地球軍はプラントに対し核ミサイルの攻撃を行う。それを防いだのは開発されたばかりのニュートロン・スタンピーダという兵器だった。
 これによって地球軍は撤退する。デュランダルはこれで終わりであることを願う。
 プラントでデュランダルとの面会を待つアスランは、そこでラクスと出会う。余りの唐突な出会いにアスランは戸惑った。


アバンタイトル
 前話のダイジェスト。カガリとオーブの会議、アスランとキラ。プラントに向かうというアスラン。そしてシンとキラは慰霊碑の前は初めて相まみえる。そしてカガリはプラントに対する地球連邦の共同声明を聞かされる。
 アスランとキラの乗る車、妙にデカいし、リア・ウイングが意味ありげに動いたりして変に印象に残る描き方をしていると思ったら、別アニメの『サイバーフォーミュラ』か何かのマシンらしい。福田監督、両澤千晶の別作品であるため、セルフ・パロディとなっているようだ。


Aパート
 月面の地球軍アルザッヘル基地では戦艦への核ミサイル搭載が行われている。もちろん地球側は共同声明に対してプラントが従うなんてことは全く予定してはいないはずだ。
 2年でここまでの戦力を整えるのはかなり無理があると思うが、まあ、SEEDに時間的うんぬんを言っても仕方ないのは前からなので(ここまで物理的限界を超えているとフォローも出来ない)、宇宙戦艦やMSが半年や一年そこらでどれだけ大量生産出来るかはもう世界観に任せるしかない、というところだ。
 いきなりのウィンダム。外観はザコとは思えないほどカッコイイ。ちょっとデュエルに似ているかな? 色があるところを見るとPS装甲ではなさそうだ。でもこの名前、『ガンダム』という名前がキラが勝手に呼んでいるだけ(本作でもカガリが一度言っただけ)なのに何か関係がありそうな印象を受けてちょっと疑問だ。
 でも、描き込みはかなりスゴい。この作画レベルの高さは流石というべきか。
 一方、プラント政府。最高評議会では地球側にあきれ気味の会話が交わされている。当然だ。何だかいちゃもんつけて本当に戦争やろうとする北●鮮を想像してしまった。多分、あの国が何処かに(それは恐らく韓国か日本)戦争を仕掛ける時は、こんな感じなるか? もっともあの国なら最初に一方的に相手を叩いておいてその後で向こうが悪いと色々理由をでっち上げたりするんだろうけど。何だか最近の中国もそんな感じだ。向こうの愛国主義教育の報道なんかを見ていると、とても近代国家とは思えない。
 北●鮮、中国と戦うなら方法は一つ、大量の文化的情報による攻撃だ。要するに西側文化、日本文化、特にメディア関係、サブ・カルチャーを大量に流してやればいい。もちろん実際に武力進攻があるかどうかではなく、これは今現時点において日本が本来なら行わなければならない文化、思想を内在させた武力を伴わない水面下での文化的戦略だ。それくらいやって貰わなければ外交交渉上困る。かつてフィリピンで放映されていたロボットアニメ『ボルテスV』が余りの高視聴率の為(80幾らまであったはずだ)、政府が直々に“日本の文化的侵略行為”として放映を中止させたことがある。文化という名の武装は時として物理的攻撃力を上回るのだ。
 話がズレた。最高評議会での会話の最中、大西洋連邦の放送を見るシン達、カガリ、キラとラクスの姿が映る。
 プラントの黄色の髪の女性は初期のアバンで調印式に描かれていた女性と同一人物か? 設定はあるのだろうが、ちょっと唐突だ。知らなければ全く誰だか判らない。
 アスランの乗ったシャトルがプラントに向かっている。
 そのプラントのザフト軍事ステーション。背景にプラントがやたらと浮かんでいるので、おそらくL5あたりにあるんだろうが、アレイ状でデカイ。前回で一切姿が出なかったことから、今回新たに起こされたんだろうが、前回で描かれなかっただけなのか、戦後製造されたのかは不明。でもあんなの1年や2年で完成させるのは無理だ。それにバックには別の要塞らしきものが幾つも連なっている(どうやら宇宙の浮きドックらしい)。建造する為の資材や人員の確保はどうなっているんだろうか。インパクト重視でやり過ぎ感は否めない。
 ブリーフィング中なのかモニターを見る白服のイザーク、その前に立っている緑服のディアッカ。恐らくはジュール隊のメンバーだろう赤服の兵士達。赤服はエース・パイロットの証らしいが、ディアッカも肩身が狭いんじゃないか? 一番手前の椅子に座っているのはシホ・ハーネンフースか? このキャラ、SEED MSVかららしいが、キャラデザインのモデルは『玉置成実』らしい。スタッフはどうやら玉置成実にも声優としてSEEDに参加して貰いたい意向があるようだが(インタビューで玉置成実本人もやりたいようなことを言っていた)、残念ながら玉置成実の初声優はNHKの『名探偵ポワロとマープル』のゲストキャラに先を越されてしまった。個人的にいわゆる声優以外の俳優やアーティストを使うのは条件付きでOK。条件というのはキャラにあっているか、状況や世界観を理解したセリフ回しが出来るか、ということで上手い下手は余り関係ない。もっとも話題作りが見え見え、レギュラーをするには下手過ぎ、本業が忙しくなって途中降板なんてのは考えるだに恐ろしいが。
 紛糾する議会。デュランダルがそこに割ってはいる。第1声目が無視されるのがちょっと新鮮。でもこの雰囲気、何処かで見た事あると思ったら、前作序盤の最高評議会シーンで紛糾する議会を収めようとするシーゲル・クラインとパトリック・ザラに似ている。
 ・・・もうすっかり忘れているが、あの羽根クジラ『エヴィデンス01』はどうなったんだろうか。無意味に伏線を張ると直ぐにこういうことになる。自戒せねば。
 あくまで対話路線を貫こうとするデュランダル。しかし月基地には既に動きがある。ここでの「レベル・レッド」は意味は通じるとしても凄く唐突だ。無理にこんな単語を用いる必要は無かったんじゃないか? 雰囲気を盛り上げる為に意味は無いのかも知れないが、“何かに対しての単語”というのは最初にそれとなく視聴者に知らせておかないと、妙に薄っぺらく感じられる。これが『デフコン5』とかなら意味的には通じるんだが(でも普通はこっちのほうが判らないか)。
 デュランダルは軍を動かすことを決める。ここの場面、セリフ回しが上手い。特に周囲に押し切られたような感じを見せておいて「血のバレンタイン」という単語で、周りの議員達を煽っているようにも見える。無駄の無い演出だ。
 動き出すザフト軍。ジン、ゲイツR、シグーの姿もある。ザクがまだまだ数が足りない現状では、それらが軍の主力であることは間違いない。実際のところ、ガンダムシリーズは余りにもMSの世代交代が早く、しかもあっという間に大量生産されている。参考にはならないかも知れないが、日本の自衛隊の主力戦車は90式、つまり1990年に正式化された戦車だ。しかし、まだ予定数を半分も配備しきれておらず、74式も主力の座を明け渡してはいない。更に新たな防衛構想によって90式は数を揃えられないままで縮小が決まった。
 俺がSF作品を作る上で“経済的な根拠”も一応念頭に入れるのは、こういう現実があるからだ。
 要するにガンダム世界においては防衛予算や物資、人員の面においてどうしても物理的限界を軽く超えているのである。まあ、そうじゃないとガンダム的戦闘はとてもじゃないけど出来ないと思うが。
 ザフト軍の空母ゴンドワナ。やたらとデカイ。ゴンドワナ(Gondowana)は古生代後期から中生代にかけて、南半球にあったと考えられている、現在のインド、アフリカ、南アメリカ、南極大陸、オーストラリアなどを合わせた大陸の名称でもある。
 それにしても宇宙空間での空母の存在意義ってどんなものだろうか。実際のところ宇宙では地上と同じような船の概念は全く必要ないので(実際にSEEDに出てくる艦艇はどれも所謂“船”とは形がかなり違う)、このような“空母”などとカテゴリーを付ける必要はないように思う(正確には“宙母(航宙母艦)”か?)。空母というのは単純に文字通り(航空母艦)の機能を果たす艦、と考えていれば間違いないんだろうが。
 ゴンドワナのブリッジに入るイザークとディアッカ。この二人が部隊の指揮を執るようだ。
 デュランダルの言葉は続く。「テロリスト達の思惑に乗ってしまってはいけない」。しかし、一連のデュランダルの落ち着き振りは・・・。
 プラントに到着したアスラン。ここではアレックスで通している。状況の説明を受けるアスラン。このプラントの構造、確か描かれたのは今回が初めてじゃなかったかな?(前作では意外にプラントの外観って描かれなかった) 世界観が統一してくると描き易くなる。そういう意味では、SEED DESTINYの世界観は円熟しているのだろうと思う。それにしても凄いエレベータだ。
 月基地から飛び立つ地球軍の戦艦。幾ら1/6Gとはいえ、戦艦クラスの質量を月の脱出速度まで加速させるのは物凄い推進剤がいるはず。しかも相変わらず推進剤が何か全然判らないので、何を噴射しているのか判らない。液体燃料かも知れないが足りないだろう。戦艦にはNジャマーキャンセラーは搭載してないのかな? 地球軍はミサイルよりもそれに使うのが先のはずだろうに(幾ら条約で禁止されていたとしてもだ)。
 因みにガンダムでよく使われる“核パルス推進”とは、核爆発を緩衝板というので受け取って推進力にする方法だ。これはオライオン推進とも呼ばれ、映画『逆襲のシャア』で、シャアの叫びとともにアクシスを加速させる時、椀状の緩衝板の向こうでドンと核爆発が起こっていたのがそうである。本当なら連続で爆発させて推力を得る。爆風を推進力にするなんて結構荒唐無稽な発想のようだが、実際にアメリカ軍で実験には成功しているらしいし、まあ、宇宙開発で使われることはないだろうが、SF的にはなかなかリアリティのある設定だと言える。
 モニターの前で通信をするロード・ジブリール。何時も黒猫を撫でている、非常に判りやすいキャラだ。前作でもブルー・コスモスと地球軍側の関係がイマイチ判りにくかったが、やはり今回も同様。単に政治的に影響力の強い団体とか資金源が豊富で軍に金を落としている組織、というだけでは無いようなんだが。
 プラント側が様々な方法を使って現状の回避に動いてる。
 ここでのジブリールの言葉に「赤道連合」とか「スカンジナビア王国」とか出るが、地球の勢力圏というか様相はかなり現在とは異なっている。そうなった経緯についても知りたいところだ。
 ただの一国、オーブはそんなに強力な国家なのだろうか。オーブ=日本のイメージがあっただけに、少々“日本はかくあれ”的な願望が入っている様な気がしないでもない。今の日本に相手を恐れさせるものが何かあるだろうか。
 ジブリールが独自の世界観を述べる。この「人が手を加えなければ荒れ放題になる。それが美しいはずがない」というのは一瞬正しい理論に感じるかも知れないが、まさしくブルー・コスモスらしい人間中心の考え方だ。地球は一個のシステムである、というのはいわゆる「ガイヤ仮説」に繋がるが、ガイア仮説が人間も地球のシステムの一部と考えているのに対して、ジブリールは人間をそのシステムそのものを管理運営するものとしているのが、独善的である。もっともガイア仮説は証明されているわけではない為、あくまでも「仮説」なのであるが、個人的に昔はガイア仮説を正しいと思ったこともあるが、最近では俺はガイア仮説は間違っているのではないかと思っている。詳細は長くなるので別の機会に別のコラムで。
 イルカが打ち上げられているのを空撮するミリアリア、流石にまだ戦争状態ではない為、オープニングの戦争カメラマンという姿は見えない。まだ状況が判らないのでフリーなのか何処かの専属なのかも判らない。前作キャラが活躍するのはファンにとっては嬉しいのだろうが、ミリアリアはまだ17、8歳のはずだ。普通に考えればやっぱり無理がある。ただ、こういうジレンマは前作と時間が空いていない第2作ではよくあること。誰だって前作のキャラには活躍していて欲しいと願うものだ。
 ジブリールの言う“ロゴス”、聞いていると本当に言葉遊びが好きそうだとひしひしと感じる。
 夜、ベッドで横になるキラ、ラクス、ひとり考え事をするカガリ。ミネルバでも静かな時間が過ぎてる。タリアのラフな姿(前はもっとラフな姿があったが)も新鮮だ。
 マユのケータイを持って眠るシンはマユの夢を見ている。第1話でも書いたが、こういうキー・キャラクターであるはずのマユが第1話であまり印象深く描かれなかったのが惜しまれるところだ。そう言えばマユの声は坂本真綾が担当しているようだ。正直、そんなに上手い声優でないと思っていたのでルナマリア以外の声が出せることにまず驚いた。この二人がいる紅葉の舞い落ちるバックは如何にも日本的情景である。
 ようやくシンのセリフが出て、Aパートが終了。シンは今回(も)、僅かに2、3言の短いセリフしかない。


Bパート
 進軍する地球軍宇宙艦隊。それぞれが慌ただしくなってくる。
 ダガーLの発艦はいわゆる射出式のカタパルトではなく、電磁気か何かのマス・ドライバーだ。宇宙でのカタパルトはやはりこの手の加速器が一番それらしい感じがする。宇宙では重力という軸を持たないので、地上で使っているようなカタパルトでは無理だ。
 オレンジ色のザク。誰が乗っているんだろう。またMSVなのだろうか。
 TVではプラント側に対しての宣戦布告の声明が発表されている。アンディ・バルトフェルドとマリュー・ラミアスは既に同棲しているような感じだ。
 ミネルバでもコンディション・イエローが発令される。タリアの溜め息はやはり、といった感がある。起こされたシンは開戦の報にに驚く。
 ザフト、地球軍の戦闘が開かれる。オレンジ色のザク、戦艦を沈めたりとかなり印象的に描かれている。
 イザーク、ディアッカも出撃する。
 その側面には地球軍の奇襲部隊が隠れている。この艦長、如何にも悪人面で、判り易いキャラだ。確かに低年齢層からすればこういうキャラが前に立てば状況に対する感情移入はしやすいはずだ。みんながみんな腹にイチモツを抱えだ謎キャラというのは困る。ガンダムはライバルキャラの描き方に一定のパターンがある(美形の性格破綻、渋い大人、顔より度量の漢)が、名も無きサブ・キャラは如何にも判り易いキャラを配置している。もちろんこれはガンダムに限ったことではなく、アニメ作品の視覚的効果を特徴付ける記号の一つである。
 その艦隊から発艦するのはとデカイ核ミサイルの箱(文字通り)を装備したウィンダム。
 戦闘が続く。イザーク、ディアッカのザク、オレンジのやつも戦い慣れている。ゴンドワナのCIC、CICとは『combat information center』のことで軍艦等に設けられる戦闘情報中枢のことだ。
 CICでは戦場の解析が行われている。軍令部はいいとして、アプレディウスって何だ? 哨戒機が前作に出てきた高機動強行偵察型ジンなのはMSファンには嬉しい登場だろう。
 そのジンが核ミサイル装備のウィンダム部隊をキャッチする。報告は直ぐにCIC、デュランダルの元にも伝えられる。
 ここで流れるBGMに注目。妙に荘厳で盛り上げようとしているが、これはやはり核の脅威に晒されたプラントの必死の抵抗を表しているのだろうか。それにしてもやや場違いというか短絡的に感じられる選曲だ。
 極軌道からの攻撃隊の存在に驚くイザーク、目の前の部隊が囮であることを知るディアッカ。確かに物量は半端じゃない。驚くのも無理はないだろう。ザフト軍も人のことは言えないが、この物量は一体何処から?
 イザーク達が迎撃に向かう。そのウィンダム部隊の先にはニュートロン・スタンピーダとかいう装備をしたナスカ級戦艦の姿が。竹蜻蛉の羽根を何枚も重ねたような姿をしているのがデザイン的に面白い。一瞬、あれが回転するのかと思ったくらいだ。戦艦の外付け装備というのもなかなか興味深い。
 発射される核ミサイル。プラントへと無数の核ミサイルが向かっていく。イザーク達も間に合わない。
 そこに放射されるスタンピーダ。放射されたエネルギーが核ミサイル、ウィンダム、そして艦隊をも壊滅させる。映像を見る限り、前作のジェネシスと同じガンマ線レーザー兵器のようだ。スタン(stun)には気絶させる、とか打ち負かすという意味がある。
 ここまでのシーン、どうにもセリフが説明的で「核ミサイルへの対抗手段としてこういうのをでっち上げました。でも強過ぎるので一発しか使いません」というそこの浅さを露呈しているような感じだ。
 ファースト・ガンダムでも似た様な兵器としてコロニー・レーザー(因みにレーザーなので実際には目に見えないはずだが、劇中では視覚的効果を考え、“宇宙を貫く憎しみの光”という解釈で描いている)が出るが、富野監督は第2射目以降はプロットから外し、「強力な兵器は一発だけのほうが緊迫感で出る」として使われなかった。恐らくソーラー・レイ・システムも同様だと思われるが、実際、前作でジェネシスが連射可能であることを知った時(しかも本体はPS装甲)、どう決着させるかと注目した。もっともインターバルを長く設定することで折り合いをつけていたが。
 デュランダルの眼はやはり何か有ると匂わせる演出である。
 椅子に座るアスラン。後ろで落ち着かないメガネの案内とは一線を画している。
 顔を洗って来ると外に出たアスランは、外でラクスの声を聞く。その姿を発見、しかも傍らには赤ハロがいる。
 アスランの姿を見て嬉しそうに駆け寄るラクス。「あなたが来てくれるのをずっと待っていた」というラクスの言葉はかなり不思議な感じだ。これがニセラクス、というかエンディング・クレジットではミーア・キャンベルとなっている。オープニングでアスランに寄り添うラクスに奇異を感じたが、これで状況が読めてきた。アスラン、4角関係に陥るのか? それともカガリがユウナに走ってさらにドロドロになるのか?
 核攻撃部隊全滅の報告に驚くジブリール。地球軍は撤退する。
 アスランとラクス(ミーア)。ここではお付きの男が「ラクス様」と言っている。ミーアの正体が何者であるかは非常に気になるところだ。よもやくだらない後付け設定等は持ち出しては来るまい。ラクスとミーアの違いは髪飾りと胸の大きさのようだが、性格的にも少し違うみたいだ。オープニングで胸ポロ確実の衣装で踊るラクスはどっちだったかな? あの過激な服はやはりキャラデの平井久司がデザインしたのだろうか。まあ、平井久司は同じくキャラデをしたアニメ『スクライド』のイラストでサブ・ヒロインのショーツから透けて見える●●●●を細部まで(当然アンダーヘアまで)描いてみせた前科があるから、SEEDでもどんな過激なイラストが出てきても不思議じゃないんだが。
 ラクスを見送るアスラン。そこにデュランダルがやってくる。ラクスのことを聞けないアスランに、デュランダルの笑みが意味深である。


予告
 デュランダルと共に行動しているアスラン。どうやらとうとうセイバー・ガンダムとの対面があるようだ。実際にこの回で乗るかどうかはまだ判らない。
 ミーア(ラクス)が踊るシーンもある。やはり影武者なのだろうか。もちろん、ラクスはプラントではかなり信奉があったから、ラクスの不測の事態の時に民衆を安心させる為に予めミーアが用意されていたのだろうが、詳しい説明が次回あたりで出てくることを願いたい。
 次回もアスランが中心の話になるようだ。ミネルバのシーンもあることはあるが、シンはまたしてもセリフが一言二言で終わりとなるかも知れない。

 次回「PHASE-10 父の呪縛」


総評
 今回のストーリーは本来主人公である筈のシンは愚か、影の主人公であるアスランすらもほとんど描かれない、小説で言えば『神様視点』と呼ばれる(※小説ではやってはいけない)、物語に全く主観の入らない客観的視点で貫かれている。状況説明に終始している、というわけだ。
 もっとも、それが失敗しているようなことはなく、全編に緊張感があって魅せてくれる。が、やはり主役達が全然描かれない為、内容がまるで印象に残らない。状況説明だけで終わったのではそれも当然だ。
 しかも、展開が少し早過ぎる。この話を2話に分けてシンやアスラン達を絡ませるようなことは出来なかったのだろうか。もっとも話の展開を見る限り、シン達が関与出来るところは少なそうである。しかし、状況が悪化していく中で自分達の立場を確認することは充分に出来たはずである。
 余程戦争をやらせたかったのか、地球側、プラント側の描写が不足していてもどかしい感じが強いのも確かだが、考えてみれば実際に戦争が起こるとすれば、どちらかが一方的に戦争を望んでいる場合は、案外こんなものかも知れないと思う。
 シナリオ論には『照明の原理』というものがあり、物語中の事象が主人公にスポットライトを当てなければ、当然密度が落ちてしまう。今回の話は主人公の置かれた状況を端的に説明しただけで、次回以降には関係してくるのであろうが、今回の話に限りシンは全く蚊帳の外である。大河的な長編作品にはありがちだと言えるが、主人公がここまで絡んでこないと、脚本の不手際さが取り立たされても仕方ない。演出や絵コンテでかなり高いレベルの話になっているが、やはりもう少しどうにかなったのではないかと惜しまれるところだ。
 必要ではあるが無意味な回、という印象だった。
 それと今回描かれていた構造物は、「大きい事は良いことだ」的にデカイものばかりだった。この時代錯誤的な旧態SF然とした巨大構造物の乱造が物語的に破綻を招かないかどうか、スタッフ達のお手並み拝見である。




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