PHASE-11 選びし道


脚本 野村祐一、両澤千晶、演出 吉村 章、絵コンテ 西澤 晋

ストーリー
 オーブは反対するカガリを余所に、大西洋連邦との同盟を締結しようとしていた。しかし、今のカガリにそれを阻止する力はない。
 ユウナは言葉巧みにカガリを追い込むように近付いていく。
 一方、プラント側も核攻撃に対する積極的自衛権の行使という名目で軍を動かそうとしていた。
 イザーク、ディアッカと再会したアスランは、ニコル達の墓参りの際、イザークに軍に戻れと言われ、悩む。
 地球降下作戦が開始され、再び戦端は開かれようとしていた。オーブは大西洋連邦との同盟を締結し、ミネルバはオーブからの出港を余儀なくされる。
 なんの力もなくそれを見送ったカガリに、ユウナは結婚を迫る。
 一方、アスランはデュランダルにコンタクトを図り・・・。

アバンタイトル
 荒れるジブリールにロゴスの会話。それにデュランダル、カガリ、その他のカットが被さる。大西洋連邦の小僧って誰だ? 他に第三のキャラがいるのだろうか? でもジブリールは顔に泥を塗られた為か、やる気まんまん。スタンピーダを逆に脅威であると利用するようだ。まあ、意地になっているというのが本当だろうけど。でも、計画とは何だろう?
 整備が続くミネルバ、屋敷で佇むキラとそれを見守るラクス。
 その頃、プラントの最高評議会では積極的自衛権行使というどっかで聞いたようなお題目で国防委員会のプランを了承。
 でも、相変わらずデュランダルの笑みは怪しい。


Aパート
 オーブ行政区では、大西洋連邦との同盟締結を反対するカガリと重鎮達が対立。カガリをやり込めたのは意外にもユウナ・ロマ。ただのなよなよしいお坊ちゃんではないのが分かる。父親に似て案外策略家のようだ。
 しかし、ユウナ・ロマのこの程度の発言に反論すら出来ないカガリはやっぱり子供だな。完全に手下に主導権を握られている代表、やっぱりカガリはお飾りなのである。
 机を叩くカガリの手に、アスランから贈られた指輪が。流石にこうみるとカガリは痛々しい。
 そう言えば、大西洋連邦を一国として数えているようだ。やはり世界のパワーバランスがどうなっているのか知りたいところである。
 結局、この後ウナトにも攻められ、「だが」とか「しかし」とかしか返せないカガリ。ここで入るカットではオーブがかなり復興しているのが見てとれる。こういう理論でくると、ウズミ達のほうが正論のように聞こえてしまうな。
 議会が解散し一人歩くカガリにユウナが話しかける。肩に手をやって優しく話しかけるユウナとそれを見るウナト。全くこの二人、親子揃って策士も良いところだな。
 ユウナ達の目的はなんだろうか。カガリと結婚してオーブの政権を牛耳るろうというのだろうか。カガリが元首という立場なのは世襲制だからとしか思えないが、オーブは確か共和国だったか? このカガリなら失脚させることぐらい簡単だろうに。その材料なんてこれまでの話でわんさかあるが。
 顔を寄せるユウナに顔を背けるカガリ。どうもカガリの優柔不断さだけが目についてしまう。
 ミネルバ。タリアとアーサーの会話。恐らく開戦しているから早くオーブから発とうと進言するアーサーと、火種になることを恐れて様子を見ようとしているタリア、という図式だと思うが、言い方が回りくどく判りにくい。
 艦内設備だろうか、妙に畏まった食堂で、シン、ルナマリア、メイリンがいる。給仕がメニューを持って来るあたり、軍艦とは思えないやや場違いな豪華さだ。
 二人の会話を聞いていたシンが思うことは?
 ザフト、軍を展開している。ジブラルタルとカーペンタリアに展開している地球軍を追い払おうという作戦が進行中らしい。デュランダルはひたすら書類を捌いている。
 ザフトのMSが地球降下用カプセルに搭載されている。
 地球ではニュースを見ているアンディ、子供達と眠るラクス。一人ベランダで椅子に座って佇むキラはフレイやトールを思っている。トールの死ぬシーンは止め絵だったのに、今回は動画として入っている。新作か、或いは(俺は見ていないが)DVD特典、スペシャル・エディションのカットかも知れない。
 それにしてもキラとフレイの関係って、ちゃんと決着ついてないよな。まあ、殺してしまったので今更という感じなんだけど。


Bパート
 プラントではアスランの部屋にイザークとディアッカが訪ねてくる。二人とも私服、けっこうパリっと決めている。ファンサービスだな。イザークはアスランの護衛監視の為に、忙しい最中、前線から呼び戻されたことを憤慨している。ディアッカはかなり冷静だ。イザークもそれが照れ隠しだとバレバレ。
 三人で連れ立ってニコルの墓参り。前作第1話でしか出番が無かったのに(しかも顔出しもほとんど無し)、しっかりとラスティの墓もある。
 立ち並ぶ墓の前で、再びザフトが動くことを聞かされるアスラン。核を撃つ→迎撃のストーリー運びが早過ぎたような気配ではある。何だかSEED内での核の持つ危険性が薄らいでしまったような印象も受ける。何時でも撃てる核を持っているなら、どんな攻撃だって可能な感じだ。こういう戦略の自由度を高めてしまうと、ストーリーを作る側がそれを抑え込む為には妙にチープな理由付けをしなければならなくなる時がある。自戒しなければ。
 アスランに、プラントに戻れというイザーク。どうやらイザーク達は先の戦争で戦ったことで戦争犯罪を問われていたらしい。それを救ったのもデュランダル。全く、この男、抜け目が無いというか、根回しが良過ぎるな。この手のキャラはやっぱり裏表が激しい。・・・ラスボス?
 いよいよ作戦が始まるザフト。
 その頃、オーブではウナトの元に書類が。ユウナと話している二人の姿は本当に狸だな。カガリは子供でバカな娘だと思うぞ。しかし、来たか、結婚。前作がお子さま恋愛なら、こちらはドロドロ恋愛か? もっともビバリーヒルズ青春白書程度の感じしか受けないが。
 バスローブ(?)姿のカガリ。その薬指にはアスランからの指輪が。かなりアンバランスな印象は否めない。
 ミネルバに入るアンディからの通信。ザフトが進攻すればオーブも大西洋連邦に与するから出港しろ、という内容・・・だが、リバーシ(オセロ)を例えにする等、アンディも頭が良いのか悪いのか分からない奴だ。
 通信を送るアンディと、その後ろで見るマリュー。この二人の関係がどのようなものなのか、気になるところだ。そこに現れるキラ。全員が私服姿で会するのは以外な感じがするな。
 オーブでは地球降下作戦にショックを受けるカガリに対してユウナが同盟を締結することを宣言。
 今回はやたらとセリフに別のシーンが被さっている。ここでも何故かシンとルナマリアが。
 タリアはミネルバ出港を決定する。
 そして、ミネルバ発進。そこに車でカガリが駆けつける。
 廊下を歩くシン、ルナマリア、レイ。そこでカガリと遭遇、相変わらずシンは感情的にカガリを責める。追うルナマリアと敬礼するレイ。それぞれの性格の違いだ。
 出港を開始するミネルバ。ひとり見送るカガリ。
 出撃の用意をするシン、ルナマリア、レイ達。
 行政府に戻ったカガリをユウナが慰めながら、結婚について話す。アスランの贈った指輪をした手を撫でるユウナの手が如何にも気持ち悪い。でも、カガリは何も言い返せない。そうやって優柔不断なままでいるとドロドロになるぞ。カガリ! 種割れしろ! ユウナを倒すんだ!
 その一方でアスランはデュランダルへの電話を・・・。


予告
 次回は大掛かりな戦闘がありそうだ。ジェットストライカーを装備したウィンダム。オーブからもM1アストレイシュライクの姿も見える。でも一番の見どころになりそうなのは、巨大MA、ザムザザーか?

次回「PHASE-12 血に染まる海」

総評
 戦闘もなく、シン達もほとんど描かれない。別れ別れになったカガリとアスランの状況が延々と描かれているだけの回。その為、どちらかと言えばキャラファン向けの演出が多く、それ以外には退屈な回となっている。
 相変わらずカガリはダメダメで言われ放題。逆にユウナ達の策士ぶりがより強調されている。
 アスランもまだ自分の居場所を見つけられずにいる。キャラ的には大きく動いた回とも言えるが、カガリにしろアスランにしろ、個人的なことに過ぎず、しかもちょっとグダグダしているのはいただけない。
 政治の話はユウナが上手くあしらっている為に複雑な印象を受けるが、結局はカガリを追い詰めているだけに過ぎない。もっともこれでミネルバの存在がオーブにとって厄介になったことは間違いなく、次回に繋げる為の話を1話まるまる使って描いた、とも言える。何しろ最初から最後までオーブの動向が描かれているのだから。
 1クール終了を前に盛り上げたかったのだろが、ちょっとややこしくし過ぎたのか、それとも引っ張り過ぎたのか、前回で核を使ったストーリー運びを急ぎ足でしてしまったが故に、もどかしいくらい今回はもっさりとしている。
 繰り返される議論は半分に縮小出来たはず。まさしく“繋ぎ”の回だった。



Back